2013年9月13日金曜日

Folding論の時系列に生じてるちょっとしたねじれ

B. Cache(OBJECTILE),とG. Lynn(FORM)の幾何学論が極めて密接な関係性を持っていることは彼らのテキストを実際に読めばすぐに分かる。

ともにDeleuzeがバックグラウンドにあるのだが、この二人の影響関係というか出版物の関係がすこし面白いことになっていた。

LynnのArchitectural Curvilinearityが建築におけるFolding論の一つの切断線といえる。
その中ではLe Pliに関する言及があり、Le Pli にはCacheが出てきている。

CacheはDeleuzeの直接の教え子であり、同時にDeleuzeにとっても影響を与える存在だった。

しかし、ここで少し混乱する。

あれ?CacheのEarth MovesってArchitectural Curvilinearity(Lynn)への返答というか反応みたいなものじゃなかったっけ??

Cache→Deleuze→Lynn→Cache


とCacheが2回出てくるような奇妙な展開になっている…??
きちんと出版年を調べると次のようになっていた。


1983年     Terre Meuble(Cache)
 
(仏語のオリジナルは手稿のみで出版されず。存在はDeleuzeによって示唆されていた。)

1988年     Le Pli(Deleuze)

1993年     Architectural Curvilinearity(Lynn)

1995年     Earth Moves 

(Terre Meubleの英訳、MIT出版会から出ている。この際に編集が加えられている。)

1996年     AnybodyでのLynnの講演

1999年     Animate Form

Cacheのオリジナル私家版テキストと出版されている英訳の間にArchitectural Curvilinearityがはさまっていたのだ。

当然、訳者まえがきや編集者の意図には Lynnの影響が隠せない。

Cache本人→Deleuze→Lynn→Cacheの英語圏での受容


という関係だったというのが実態と考えればいいだろう。