2012年3月3日土曜日

朝早く再び列車に乗る。
lisboaで見るべきものは少ないと聞いていたが、郊外まで脚をのばすと良いものがある。
旅のお供にしばしば連れられる淵上正幸氏の『ヨーロッパ建築案内』にのっていないもので、
理科大の坂牛先生がブログに載せていた灯台博物館を訪ねてみようと思いたつ。

カスカイスの街はlisboaから電車で30分あまり。
夏場は保養地として賑わうそうだが冬は閑散とした海辺の町である。

ここにはソウト・デ・モウラが設計したpaula lego美術館もある。
街の案内所は10時から開いているという看板を掲げながら10時を回っても人気がない。

しょうが無いのでとぼとぼ地球の歩き方の地図に書きこまれた先輩のメモを頼りにCasa なんちゃらpaula legoへとむかう。

赤い建物なので目に入るとすぐに気づく。
コンクリートの表情が独特だ。
中の展示が入れ替え中で展示室は見れなかった。
しかしミュージアムショップや階段、カフェなどを見る。
売店の天井が外見のとんがり帽子のままにぶち抜きの吹き抜けでいたく驚く。
階段の手すり周りはまた奇妙なディテールで(スチールと木を組み合わせてつくっている)
ソウト・デ・モウラのこだわりを感じさせる。
しかしこの人は自分の内面のパッションみたいなものを熱烈的に形にしているが、
その確信みたいなのはどこから来るのだろう?

そこから歩いてマテウスの灯台美術館を訪れる。
前掲の坂牛先生の記事で気になっていたものだ。

白い建物が生粋のモダニストを予感させるが、
展示棟は外装にタイルを用いて既存の灯台との関係をつくっている。

このタイルの貼り方が140mm角を基本とするアズレージョからずらしてあるのが面白い。
さらに家型のボリュームをつくりつつも、抽象化された軒の出がない形態である点に注目すると面白いことに気づく。
壁面にも水勾配をつけている。

たしかにタイルですべて仕上げるならこれのほうが合理的である。
雨だれも残らず綺麗な壁面であった。

市内に戻り、Chiado museu, Effel elevator, 建築家協会などをみてまわり、再び万博会場跡地に行く。

前回見忘れたゲートタワーやいくつかのパヴィリオンを見て宿に戻る。
夜はムラタくんがいい感じのお店に連れていってくれた。
(実は予定の店と違うところに入ってしまったようだったが、全体的に似たような街区だった。)

最終日はポストモダンの遺物のショッピングセンターを見る。
グッド・バイ・ポストモダン。

昼飯に近所のスーパーに併設されたカフェで魚のグラタンみたいなのを食べる。
「飯くうと日本に帰りたくなるよね」
そんな会話をしていた。
おみやげにチョリソーをもらい昼過ぎの便でlisboaを発つ。
小汚いけれどなんとなく憎めない感じの街だった。


帰国便もまた遅延し空港を駆け抜けるも、
乗継の飛行機も同じく遅れており急ぐ必要はなかった。
ターミナルの真ん中が走り抜けるための通路であることに気づく。

以後は乗り継ぎ時間にも気を使うようにしようと思う。

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